2018年度活動報告

理事長挨拶

平素は、本学に対して格別のご支援・ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
「未来への飛躍」基金は皆様からのご理解とご協力を得て、2018年で4年目となりました。本学では、地域医療への貢献、世界に開かれた教育・研究の充実を図るため、人材育成やキャンパスの整備、臨床研究中核病院承認への取り組み等を鋭意推進して参りました。これまで、多くの法人・団体、同窓生、保護者及び教職員の皆様からご寄附を賜り、これらの活動の充実のために大切に活用いたしております。
大学再編が進む現代社会において、これからも本学が国内外での社会貢献の使命を果たしていくためには、皆様からの、基金への継続的なご支援が不可欠です。
皆様には引き続き温かいご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

公立大学法人 奈良県立医科大学
理事長・学長細井 裕司

学長補佐挨拶

平素より、皆様におかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます。
本基金は、皆様のご協力を得て、教育・研究への支援や、臨床研究中核病院承認に向けた取組みなど、多方面に支援させていただいております。奈良医大を、「存在感のある大学」にするためにはトップクラスの医療の提供と、医療者の確保・育成を行うことは不可欠です。
将来医療者として活躍していく学生へ、「未来への飛躍」をしていくきっかけ作りや、地域の皆様にも医療に興味を持っていただけるイベントへ、今後も支援をしていくこととしております。
皆様からいただいたご寄附は、基金の目的に沿って、本学の発展のため有効に活用させていただきます。今後とも基金への変わらぬご支援とご協力をお願いいたします。

学長補佐
(「 未来への飛躍」基金担当 )𠮷治 仁志

2018年度実績のご報告

奈良県立医科大学「未来への飛躍」基金は、創設から4 年目を迎え、本学卒業生を始めとする多くの方々からのご支援・ご協力により、総額約6億円のご寄附をいただいております。
皆様からいただいたご寄附は、基金の目的に沿って、大学・学生への支援等幅広く活用させていただいております。

2018 年度寄附申込額と使途実績

2018年度 基金使途事業内訳
取組名使途事業事業概要助成人数支出額
研究の更なる飛躍及びリサーチマインドを醸成するための取組 大学院医学研究科博士課程入学者に対する奨学金 入学者の内希望者に対して大学院入学支援修学資金(入学金相当額)及び基礎医学等研究者確保修学資金(授業料相当額)を貸与 12 6,175,800円
リサーチ・クラークシップへの助成 医学科2年生を対象とした国内及び海外の研究室での実習に対して宿泊費を助成 国内12 7,579,190円
海外16
コンソーシアム実習への助成 医学科1~6年生を対象とした早稲田大学で開講される連携講座受講への助成 6 270,000円
未来基礎医学への活動支援 リサーチクラークシップをはじめ、学生の研究支援を行う講座の活動費を助成 1,965,739円
将来を担う優れた人材育成を目的とした修学環境の向上 医学科臨床実習への助成 医学科6年生を対象とした病院での臨床実習に対して宿泊費を助成 5 398,000円
看護学科臨床研修(国際看護論Ⅱ)への助成 看護学科4年生を対象とした海外研修に対して宿泊費を助成 8 140,720円
ADVANCED CLINICAL ENGLISH Ⅱ(海外留学)への助成 医学科3~6年生、看護学科全学年を対象としたニュージーランドでの海外留学に対して交通費、宿泊費、実習費等を助成 8 2,183,907円
その他海外研修への助成 夏季休暇中の海外実習にかかる交通費及び宿泊費の助成 0円
臨床英語での教育活動への助成 海外への臨床実習・留学への教育活動費の助成 1,962,988円
クラブ活動への助成 防球フェンス購入、トレーニングルーム整備、クラブ棟ごみ収集コンテナ購入 2,190,240円
新入学生への応援支援 入学式後に医学科・看護学科の新入学生保護者に対し、本学の教育活動等に関するコミュニケーションを深め、新入学生を応援するための支援 2,329,150円
看護学科学生への支援 看護学科学生へ実習用白衣及びシューズを授与 85 868,800円
国家試験対策への支援 国家試験合格率向上対策として医学科生及び看護学科生へ国家試験対策模試費用を支援 203 1,367,368円
本学と地域社会との繋がりを強化するための取組 健康長寿イベント事業への助成 本学と地域社会との繋がりを強化するための取組である健康長寿イベントへの助成 1,000,000円
臨床研究中核病院承認取得への取組に対する助成 臨床研究中核病院承認に向けた、トップクラスの医療提供と医療者の確保・育成を目指すための体制整備への助成 44,989,600円
募金推進事業 印刷費・郵送費・広報費等 5,642,087円
79,063,589

※基礎医学系又は社会医学系を主科目として選択した者は返還を免除

活用事業のご報告

「未来への飛躍」基金の使途から一部ご紹介します。

教育・研究への支援

01 リサーチ・クラークシップ

医学科2年生を対象に、学生自ら直接専門領域の研究内容に触れ、さらには高度な実験科学の進め方を実際に体得するための授業です。
研究活動の意義及びそれを支える研究者の心を理解してresearch mindを培うことを目的とします。国内及び海外の研究室での11週間の実習で、宿泊費の一部を本基金から助成しました。

Sidra Medicine へ研究実習留学しました

この度は研修先への渡航や滞在において多大なるご支援をいただき、大変ありがとうございました。「未来への飛躍」基金のおかげで留学を決断し、自分の本当にやりたいことをすることができました。
今回関わったプロジェクトは始まったばかりで被験者となる患者さんの募集や、実験に必要なキットの検討をしている段階で、新しくできたラボだからこそ経験できることや学べることもあり、大学では出来ない経験をたくさんできたと思います。医学研究なしで現在のような医療は存在し得ません。2年生という早い段階で医学研究について学ぶことができたのは、サポートいただいた教授や先生方、大学関係者のすべての方々のおかげです。心から感謝しております。

医学科 2年生小澤 享平さん

後列右より2人目 … 小澤さん

University of Michigan medical school へ研究実習留学しました

2年生という早い時期に海外に研究留学できるというのはとても貴重なことでした。この貴重な経験を可能にしていただいた「未来への飛躍」基金への感謝の気持ちは計り知れません。
短い期間でしたので、客観的に見ればあまり多くのことを吸収できてはいないかもしれないですが、自分なりには多くのことを経験し、また吸収することができました。研究に関することに加えて、臨床の大切さも再認識することができましたし、むしろ基礎研究と臨床がとてもつながりが強いものだということを感じることもできました。ここで経験したことを十分に活かし将来は医師になるという自覚を持って、今後の勉学、研究活動におおいに励みたいと思います。

医学科 2年生西岡 樹さん

前列左より3人目 … 西岡さん

Case Western Reserve University へ研究実習留学しました

ラボでは本格的に色々なことを実際にやらせていただき、非常に貴重な経験をさせてもらえたと思います。また、実験だけでなく、講演や病院の診察などにも多数参加するなど幅広い経験ができたことは、今後の勉強やキャリア形成に非常に良い影響を得るはずだと感じています。
そのような経験を可能にしてくださった「未来への飛躍」基金には感謝の念に堪えません。将来このリサーチクラークシップの経験をもとに、自分の可能性を広げ、様々な場面で活躍できるように頑張っていきたいと思います。

医学科 2年生渡邉 真子さん

理化学研究所脳科学総合研究センター分子精神科学研究チームへ研究実習留学しました

リサーチクラークシップを終えて医学・医療、ひいては自然科学全般への学びの意欲が湧いています。このタイミングで、医学・医療へのモチベーションの向上に繋がる体験をさせていただけたことは、とても良かったです。医学生としての自覚が高まりました。研究をさせていただけたことで向上した興味や関心を、医学に対して持ち続け、今後も学び続ける姿勢を忘れないようにしたいと思います。理化学研究所に2ヶ月間お邪魔させていただき、とても貴重な体験をすることができました。リサーチクラークシップの実習を支えてくださり、心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

医学科 2年生大澤 彩乃さん

02 看護学科臨床研修(国際看護論Ⅱ)

看護学科4年生を対象に、異文化における看護と医療の実際を海外研修において見学し、人間の健康と病が社会的・文化的に構築されたものであることについて理解を深めることを目的とした授業です。チェンマイ大学への海外実習の際の宿泊費の一部を本基金から助成しました。

世界中で働ける看護師になりたい

今回は、助成金による援助をいただき誠にありがとうございます。大学入学前から将来世界中どこでも働くことのできる看護師になりたいと考えていたので、援助として助成金をいただけると伺い、諦めず参加を決意することができました。
この研修では、旅行では訪れることのできない病院内や、大学、その他の医療に関する施設の見学ができます。タイの医療の実際について学び、毎日英語に触れ、チェンマイ大学の看護学生の意識の高さを感じ、現在の自身の状況と向き合う良い機会となりました。
費用を援助してくれた両親と大学、講義や指導を行っていただいた看護師・医師の方々、受け入れてくださったチェンマイの方々へ感謝すると共に、この貴重な経験を今後の私自身の成長と立派な看護師になるために活かしていきたいと思います。

看護学科 4年生丸谷 良美さん

左より4人目前列 … 丸谷さん

自分の信念を持って働ける医療者になりたい

このたびは、貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。経済的な面で迷っていた時期もありましたが、「未来への飛躍」基金の助成金のことを知り、決断することができました。
研修では、タイの伝統的な医療の文化の繋がりや医療制度、看護教育について、講義だけでなく様々な体験を通して学ぶことができました。タイで過ごした1 週間は私にとって毎日が刺激的で、印象深く、他国の文化を学ぶことや国際交流の楽しさを実感できる本当に充実した研修になりました。
自分の看護観や日本の文化への視野が広がったのを実感でき、今後の学生生活や就職後にも活かしていきたいと思いました。もし履修を迷っている方がいるなら、タイ研修までに数ヶ月あり、段階的にタイについて学習しながら少しずつ準備もできるので、ぜひ挑戦されることをお勧めします。

看護学科 4年生波多野 有里さん

後列左より2人目 … 波多野さん

03 海外留学(ADVANCED CLINICAL ENGLISH Ⅱ)

健康や医療等に関する教材を用いて、reading,writing,listening and speakingを総合的に修得するための訓練を行うもので、医学科3~6年生、看護学科を対象としたニュージーランドへの海外留学です。交通費、宿泊費等の一部を本基金から助成しました。

人を助けるという思いをどう行動に移すか、仲間とともに学ぶことができる

このたびは、海外研修を経験させていただき誠にありがとうございました。決して簡単なものではありませんでしたが、一回りも二回りも成長できたのではないかと思っています。
大学へ入学したとき、まさか私がニュージーランドで救命救急の研修を受けて、さらに資格まで得ることができるとは、全く想定していませんでした。ある程度の英語力は必要ですが、救急を少しでも学んでみたいという意欲があれば救命研修はとても楽しく、学びの多いものとなります。
看護学科も医学科も関係なく、救命に興味を持っているのであればこのニュージーランド研修を検討してみてはいかがでしょうか。

看護学科 2年生金森 晴香さん

前列左より3人目 … 金森さん

自分の知識を活かし、実用的な場で確認できる研修

実際の環境で生身の人間を相手にした時に動じない精神的な準備と、非日常的な環境でチームとして働いていくことの大切さを学ばせていただきました。
医学的な知識が定着しているか自信がない状況で、十分に学ぶことができるか不安でしたが、いざ行ってみると自分の知識を活かせることが多々あり、自信をつけることができました。研修のすべてが英語で行われているため英語力の向上を図ることができ、現地の医療のことも直接的に知ることができます。
今回、海外研修に参加させていただき感謝の気持ちでいっぱいです。他では得られないような経験を得させていただきました。ありがとうございました。

医学科 3年生漆谷 哲さん

手前左 … 漆谷さん

04 大学院医学研究科博士課程入学者に対する奨学金

優秀な大学院博士課程修了者及び学位取得者を広く社会に、より多く輩出することを目的とした奨学金制度です。入学料及び授業料相当額を本基金から貸与しました。

私は臨床医学を学習する中で、患者の中にある疾患を集団の中で捉えなおして新しい答えを探る公衆衛生学のダイナミックな視点に興味を持ち公衆衛生学講座に入学しました。現在は、本学感染症センターで勤務しながら社会人大学院生として本講座で研究をしております。
双方の上司や教官から多くの指導を頂き、両方の領域から異なる刺激を受けて充実した日々を送っております。研究課題としては感染症領域で医療機関のビッグデータを利用した臨床疫学研究を行っております。
本修学資金の存在が大学院への進学に際して私の背中を押した面もあり、また進学後は授業料相当が貸与されるため金銭面で安心して研究に取り組めております。本基金から多大なるご支援を頂戴していることを深く感謝申し上げます。ありがとうございます。今後は感染症診療の経験を生かして公衆衛生学の研究・実務を行い、公衆衛生の発展に尽くしたいと考えております。

公衆衛生学講座吉原 真吾さん

大学及び附属病院の施設整備、社会とのつながりへの支援

01 臨床研究中核病院承認取得への支援

医学研究の中でも特にヒトを対象にした臨床研究を支援する組織である、臨床研究センターの移転に活用しました。今後、奈良医大が国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担い、質の高い臨床研究を実施できる臨床研究中核病院に承認されることを目指し、基金より支援を行っていきます。

02 クラブ活動への支援

クラブ活動支援の一環として、防球フェンスの購入、トレーニングルームの整備、ごみ収集コンテナの購入を行いました。2017年度より、老朽化対策や、環境整備を続けて行っております。
学生生活を有意義なものにし、豊かな人間性を培っていくために欠かせないクラブ活動を、応援しております。

設置場所:体育館と旧クラブ棟との間

03 健康長寿イベントへの助成

奈良医大の教員がストレスチェック等の健康に関するブースを出展、また、奈良医大の学生が「なりきりキッズドクター!! 」と題し子どもを対象に、診察体験や救急車見学を実施し、地域の皆様が医療に興味を持つきっかけづくりを行うイベントを実施する費用を基金より助成いたしました。

04 医学生・看護学生への国試対策支援

国家試験の合格率向上対策として、医学科6年生及び看護学科4年生に対して、「国家試験対策模試」費用を支援いたしました。模試費用を助成することで、大学が学生の学習能力の到達度を把握することが可能となり、成績下位者に対するカウンセリングによって学習が充分でない領域や分野に対してフォローアップを行いました。
今後も、全学生が国家試験を合格することを目指して、積極的な支援を行ってまいります。